提携する通信制高校
不登校という状態
東洋経済新報社から出版されている「全47都道府県幸福度ランキング2016年版」の中で、日本の県や市について多くの視点からランキングをまとめています。最初の項目は「人口増加率」。何と、新潟県は -3.6%で47都道府県中 第36位でした。この本の95ページには、「学校ー教育」分野で、「不登校児童生徒率」が掲載されており、一番少ない県は 「福岡県」で 0.88%です。新潟県は、1.10%で第10位でした。
当学院は、開校以来10余年間、多くはありませんが「不登校」を経験した生徒に対し、何とか社会で生きていけるように指導・教育・サポートを行なってきました。現在、全生徒数は減ったものの個別指導や集団での活動支援、また、卒業後の就職支援の一環として「就労移行支援事業所」の認可を頂き、卒業後の生徒の支援も行っています。
いろいろな講演やセミナーなどでは、「不登校」や「ひきこもり」は「状態」であって「病気」ではないと言われています。しかしながら、小中学生が学校に行けず、家にずっといるという状態は保護者の方にとって思わしくないことでしょう。また、高等学校においては「不登校」とは言わず「長期欠席」扱いです。そして、この状態を解決する方法は、残念ながら「特効薬」は存在しないといっても過言ではないでしょう。
当学院の経験では、
中学校は入学式に出席後、3年間すべて欠席。当学院では中学3年生の夏休みから相談を受けていて、高校入試を勧めたが受験せず、通信制にも入学しませんでした。その後2~3ケ月に1度自宅を訪問し、本人と会話(映画の話などの興味のある話)するという状態が約4年間続きました。その間、母が病気をしたり、父が転勤したりなどで状況が変化する中、ある日突然私に本人から「家に来てほしい」と電話があり、急いで行ってみると、本人が部屋の中で笑顔で待っていてくれました。そして、「先生、どう!? オレ変わったでしょ!?」と言うのです。7年間延ばし続けた髪がきれいに整っているのです。聞くと「いとこの結婚式に出るので髪を切りに行って、鏡の中の自分を見て驚いた」そうです。
その後、「働きたい」というので、付き合いのある会社で「警備員」のアルバイトをするに至りました。半年ほど過ぎた日、専務から、「彼、この間、『仕事ができていない』って泣くんですよ。ビックリしましたね。成長したと思います。」と電話を頂きました。その後自宅に赴くと、恥ずかしそうに照れていました。(現在は長野で会社員をやっています)
これは、稀だと思うかもしれませんが、あきらめず、じっくり時間をかけて話を聞き、ときには本人に任せて傍観するなど、これまでの経験を生かし、ひとりでも多くの若者を自立させたいと思い、厳しく、優しく育てていきます。
知恵をはぐくむ学問
一人ひとりの個性は、それまでに生きてきた道であり、その子にしかないもので大切にしています。ゆえに、その個性を社会と融合させる「道先案内人」が必要だと考えています。
英語、数学といった「学問」を理解させるだけではなく、なぜ?といった疑問を解決したり色々な手段を考えていく「知恵」が必要であり、その知恵を育み、また導いていきたい。
問題を解く「学力」よりも、日常生活で「応用」できる訓練を大切にしています。
たとえば買い物するときに、「2割引」を簡単に計算できる。「867円です。」と言われたときに、1,022円出すと、155円と、硬貨3枚(1,000円札だと、133円の硬貨7枚)のおつりをもらえることを判断できることです。
子どもの自立、親の子離れ
「高校生」になって自立した、もしくは、自立したいと思っている人が数多くいる中で、親への「依存」が強い家庭も見受けられます。何をするにも、親がしてあげることが多い場合、子どもが自立する機会を逃してしまう。もしくは時期を大幅に遅らせてしまう危険があります。
高校生は子どもと大人の中間であり、自立するかしないかの分岐でもあると思います。人は自ら納得した上で行動を起こすと、たとえ不本意な結果になったとしても不幸にはなりません。
自らの意志で決定する、時にはあえてリスクを背負うことも、一つの知恵です。
目標を見つけられる環境を作る。そして意思決定のための情報を与える。それが我々指導者に必要なことだと考えています。
入学した生徒は必ず卒業できるよう支援しています。伏せ目立った子も、数ヶ月から1年で、明るい表情に変わります。小さいときは、みんな元気だったはずです。
ちょっとした不満等の心の不摂生から、いつしか目つきが悪くなり、言動も乱暴になった、勉強もしない、学校にも行かない、遊んでばかり・・・・・・でも、最初からそうだった人はいません。
「良い子」までとは言わないが、自分をいい方向に変えられる人がほとんどだと思います。
自分の意志で人生を謳歌し、物事の本質を考え、ストレスを感じない丈夫な心を育成していく。
そういった学院を目指しています